ultraseamless’s diary

読んだ本の感想を書いたり、日々のことをつらつらと。

【書評】外山滋比古『思考の整理学』

外山滋比古『思考の整理学』筑摩書房,1986

⬇︎
クーリエジャポンに紹介されてたらしい『体系的に学ぶ』ということとつながるものがあるな。と思いました。〈つんどく法〉

「大人になっても勉強するなんてみっともないことはやめなさい」という記事に感銘を受けました - 僭越ながら【1テーマの本を30冊読んで勉強するブログ】

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を読んでみました。昨日書店に寄ったところ、帯に『180万部突破!なぜ東大生、京大生はこの本を読むのか?この本を読んでないなんて人生の半分を損している』とあり
気になって買っちゃいましたo(^_^)o

まずは外山さんのプロフィールをば。本書より引用


1923年生まれ。東京文理科大学英文科卒業。お茶の水女子大学名誉教授。専攻の英文学に始まり、テクスト、レトリック、読書、読書論、エディターシップ、思考、さらに日本語論の分野で、独創的な仕事を続けている。平明で論理的な日本語を開拓したエッセイストとしても定評がある。

1923年生まれといいますと、、まだご存命でしたら92歳。すごい、読み継がれてるんですね、、。

本著の中でも特に私が、これは!と思ったものをピックアップします(^○^)

まず本著の目指すところはどこなのか?
を明らかにしましょう。

本著は、現代の教育制度が生徒の創造性を奪っていることを指摘してます。

しかし、現在の教育方針に対して、『この教え方は失敗したのかも、、』と反省はされているが具体的な改善の行動はとられていないといいます。

そこで著者は、ただ知識を積み重ね『名誉』を得るのではなく、情報を自分の中で整理し、何かの発信源(ex.先生)に依存するのではなく、自分で知識を吸収するのと同時に、その知識を応用したり発展させるなど創造性を持ち合わせた人間になるための心がけを紹介しています。

そこで、これは!と思ったのが、
ものごとの教え方について。

とにかく、先生に言われるように勉強しなさい、となる。ひっぱるものがあるから、動き出す。自分で動くのではない。受け身だ。
ひっぱられる方は、なぜ、ひっぱられているのかよくわからないままひっぱられる。
社会へ出てからも、勉強とは、教える人がいて、読む本があるもの、と思い込んでいる。学校の最優等生が、かならずしも社会で成功するとは限らないのも、グライダー能力にすぐれていても、本当の飛翔ができるのではない証拠になる。学校はどうしても教師の言うことをよくきくグライダーに好意をもつ。
いまの学校は、教える側が積極的でありすぎる。親切でありすぎる。何が何でも教えてしまおうとする。それが見えているだけに、学習者は、ただじっとして口さえあけていれば、ほしいものを口へはこんでもらえるといった依存心を育てる。学校が熱心になればなるほど、また、知識を与えるのに熱心であればあるほど、学習者を受け身にする。
一方、昔の教育法というと、、

熱心な学習者を迎えた教育機関、昔の塾や道場はどうしたか。入門しても、すぐに教えるようなことはしない。むしろ、教えるのを拒む。
あえて教え惜しみする。
秘術は秘す。••弟子の方では教えてもらうことはあきらめて、なんとか師匠のもてるものを盗み取ろうと考える。ここが昔の教育のねらいである。学ぼうとしているものに、惜気なく教えるのが決して賢明でないことを知っていたのである。
師匠の教えようとしないものを奪いとろうと心掛けた門人は、いつのまにか、自分で新しい知識、情報を習得する力をもつようになっている。


なるほど!と思いました(^◇^;)

大学のゼミの先生は問いを与えても、全く答えをくれない人でした。

生徒に対して、冷たいとか無関心とかじゃなくて、『分からなくたって分からないなりに考えてみろ!』という意味だったんだなぁ、と改めて。

で、具体的には。

私的トップスリー

  1. つんどく法
  2. 自分でことわざをつくる
  3. 分からないとこ、違和感を書き出す

ですね。

1のつんどく法は、

文字通り、積んで、そして、読む勉強法である。
かりに、関連文献が、十冊あるとする。これを一冊一冊読んで行く。三冊目くらいから、互いに重複するところが出てくる。そうすると、これが常識化した事柄、あるいは定説となっているらしいと検討がつく。前の本と逆の考えや知識があらわれれば、ここでは諸説が分かれているのだとわかる。
一気に読み上げるのは、案外、効率的である。

ふむふむ。私の場合これか?これか?ととにかく雑読ばっかしてたので、関連性ない、というか全く考えてなかったので。なーんか、ルーツを調べてないからなんか掴み所がないなーなんて思ってたので。

私的に一位です!o(^_^)o


そして二位はことわざをつくること。

••実生活で苦労している人たちは、ことわざについての関心が大きい。現実の理解、判断の基準として有益だからである。
ものを考えるにあたっても、ことわざを緩用すると、簡単に処理できる問題もすくなくない。現実に起こっているのは、具体的問題である。これをパターンにして、一般化、記号化したのがことわざである。

たとえば、次々に転職してるサラリーマンの方を例にだすと、この現象は『ころがる石はコケをつけない』というパターンをかぶせると、そのサラリーマンも人間の習性によって行動していることがわかる、別に珍しくない、となる。

らしい。

個々の経験、考えたことをそのままの形で記録、保存しようとすれば、煩雑にたえられない。•••一般化して、なるべく、普遍性の高い形にまとめておくと、同類のものが、あとあとその形と照応し、その形式を強化してくれる。
自分だけのことわざのようなものをこしらえて、それによって、自己の経験と知見、思考を統率させるのである。

、、ことわざにそんな効用が!!Σ(・□・;)

でも、共感できる部分ありますよね。

どうしても、自分の体験を振り返るとき私的な感情が先行したりする。でもそんな時本で自分と同じような体験をしてる登場人物をみると、『あっ、時代や環境が変わっても同じようなことに悩んでたりしたんだな』とか『なーんだ、あの体験はありふれたことだったんだな』

と、少し外から見えてくる。すると、『さて、おんなじ失敗をしないためにも、次はこうしてみようかな』と、気持ちが次に進む、そんな気がします。


なので、今回ことわざで簡潔に自分の体験をペロンと言っちゃう!というのは、覚えやすいし思い出しやすいし、いいな!と思いました。


ちなみに3位は、本を読んで浮かんだ違和感や分からなかったことを書き出すこと。

ついつい、私自身、分からなくってもそのまんまにしがちなので、、f^_^;)


このエピソードの他にも、本の読み方や、新聞のスクラップのすすめ、『テーマはひとつじゃ多すぎる』などの名言のエピソードもいろいろあるので

興味のある方はぜひ読んでみて下さいo(^_^)o