太宰治『富獄百景』
こんばんは。ウルトラシームレスです。
当時高校生の時期のシーンで、すごくたくさん家に本があって。「なんでこんなに本があるの?!多くない?!」と母に聞いたら、「昔の人はね、若い頃たくさん、色んな本を読んでたんだよ」
と言われて、(なにぃーーーっ)
となんだか焦りまして。
というわけで、いわゆる古典と言われる本に触れてみよーう!と思いこの本を選びました。
富嶽百景
- 作者: 太宰治
- 発売日: 2012/09/27
- メディア: Kindle版
ではでは、著者のプロフィールをご紹介しますね。
太宰治(1909-1948)青森県金木村生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中、非合法運動に関係するが、脱落。バーの女と江ノ島で心中をはかり、自分だけ助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が第一回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集「晩年」を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。39年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富獄百景」など多くの佳作を書く。戦後、「斜陽」などで流行作家となるが、「人間失格」を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。
ここが太宰さんの生まれの、青森県金木村だそうです。
ちなみに、パビナール中毒というのは、太宰さんが盲腸で苦しんでた時に病院で鎮痛剤として使用されたものだそうで。中毒性があったらしく、盲腸が治った後も薬局で買って手放せなくなってしまった、、という感じらしいです。
詳しくは、知恵袋の回答見てみて下さいませ。
それではあらすじの話をしませう〜。
これは、太宰治本人のお話。
井伏鱒二氏と一緒に山を登り霧のため全く富士が見えなかったが茶屋の店主が、必死で富士の眺めの良さを力説したり、泊まっている先のおかみさんやその娘さんと、ほのぼのとしたやりとりがあったり。
その様子をじっと、愛とユーモアを交えて眺める太宰。
ん?意外と太宰(さん)って面白いし、優しいひとなんだなぁ、と思った。
心の中で、富士山を仰ぎながら、遊女の幸せを願ったり。おかみさんと娘さんの愛情にホロリとじんわりしたり。
もっと陰鬱なのかと思ったけど、こんな一面があったんですね!という。
物語の中でも、印象的なシーンが!
青年たちと飲んだり話したりしてるうちに、夜が深くなり。太宰は御坂峠を下った吉田という所で宿に泊まります。
そこで、なんだか眠れずブラブラ外を出ることにした太宰さん。
月の明るさに、富士の美しさに驚きます。
•••その夜の富士がよかった。•••私は、眠れず、どてら姿で、外へ出てみた。おそろしく、明るい月夜だった。富士が、よかった。月光を受けて、青く透きとおるようで、私は、狐に化かされているような気がした。富士が、したたるように青いのだ。燐が燃えているようか感じだった。鬼火。狐火。ほたる。すすき。葛の葉。私は足のないような気持ちで、夜道を、まっすぐに歩いた。下駄の音だけが、自分のものでないように、他の生きもののように、からんころんからんころん、とても澄んで響く。
わ〜、すすきに、ほたるに、、。なんかうっとりしちゃいますよね、、。
ちなみにどてら姿というのはこんな感じらしい
ちょっと気取って、ふところ手して歩いた。ずいぶん自分が、いい男のように思われた。ずいぶん歩いた。財布を落とした。五十銭銀貨が二十枚くらいはいっていたので、重すぎて、それで懐からするっと抜け落ちたのだろう。私は、不思議に平気だった。金がなかったら、御坂まで歩いてかえればいい。そのまま歩いた。ふと、いま来た路を、そのとおりに、もういちど歩けば、財布は在る、ということに気がついた。懐手のまま、ぶらぶら引きかえした。富士。月夜。維新の志士。財布を落とした。興あるロマンスだと思った。財布は路のまんなかに光っていた。在るにきまっている。私は、それを拾って、宿へ帰って、寝た。
って、財布落としたんかーーーーーーい!
もうなんじゃそりゃ!3秒前まで月夜がどうとか、維新の志士のようだとか、いい男な気がしてきたとか上げておいて、財布を落とした。って、おーーーーーーーーい\(^o^)/
しかも五十銭銀貨が二十枚って、現代のお金に変えると20万円くらいの価値やないかーーーーーい\(^o^)/
って声出して笑っちゃいました。
[まとめ]
まず格好つけたようなことを言って、結局、なんか自分格好悪い事になった話を置くと、オモロイ。
太宰治は、ユーモアがきいていて、人見知りで自意識過剰だけど、優しくて、情に厚い人によく感謝をする人のようだと思った。
[感想]
えっえっ、郵便局の人が勢いで太宰さんのところへ押しかけちゃった、って今だったら個人情報漏洩とかで大ニュースだよなぁ、、と思った。
そしてそして、天下茶屋のおかみさんとお嬢さん、情に厚すぎる。(涙)
太宰さん一人のために炬燵を買って寒くないように仕立ててくれたり。
太宰さんが婚約相手に挨拶しに行って戻ってきた後、緊張のあまり肩がバキバキになってるのを見兼ねて、二人して肩を揉んであげたり。
えーーーーーーーーーーっ?!ちょっとそれ、えーーーーっ。
そこまで客との距離も近く、朗らかに日々を送れる、そんな茶屋、、最高やんけ、、。
そして。冬になって観光客も減って天下茶屋が暇になるとき、お嬢さん一人が店番をすることが多くなって、お客がたまに来るたびに、二階から太宰さんが降りてきて、お嬢さんの護衛というか、そういうのをひっそりとした。というエピソードが、
えーーーーーっ、優しい所あるじゃん太宰さん!!!!
ってかんじで、もう驚く事が多くて。
しかも。接続詞が所々抜けてるから、それは昔の文章ならではなのかなぁ?と思った。
それとお金の単位が、、一銭っていくらや、、銀貨ってなんのことや、、
とクエスチョンマークが出てきまくりました。➡︎一銭200円らしいです。
野村ホールディングスと日経新聞社の、お金の雑学⬇︎
総括。
すすきがあって。ほたるがあって。月があって。富士山と月見草がどしんとあって。
うっとりしながら、財布落としちゃう、そんな地球の営み?が、なんだか微笑ましくて可愛らしくてイイなぁと思った。
月見草。
ほおずき。