田辺聖子『楽老抄』
こんばんは。
ウルトラシームレスです。
入社式が明後日に迫ってまいりまして。必要な書類を申請したり、お世話になった人に挨拶をしたり。髪の毛を切ったりスーツをクリーニングに出したり。
バタバタと日が過ぎて行く今日この頃です(昨日は正反対にダラダラしてたんですけどっ)
いかがお過ごしでしょうか。
楽老抄―ゆめのしずく (集英社文庫)
- 作者: 田辺聖子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/02
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- メディア: 文庫
今日はブックオフで買った田辺聖子さんのこちらの本をご紹介します。
エッセイ集なんですけど、これがまた
味があって面白いんですよ〜〜〜っ。
特に、『なんぼのもんじゃ』というエッセイが、激しく面白いんです。
要約すると、その場の空気感が失われそうなので、引用しますね。
近年、老いに関する考察が流行であるが、案外、老齢といいがたい中年の人が、老いについて発言していることが多い。あれば自分たちの年代が、更なる上の世代に悩まされぬよう、自戒とみせかけて老人を牽制•恫喝しているとしか思えない。
私は老いれば、もう自戒することなんぞ、ないと思う。傲慢偏狭になってなにわるかろう。若いときあんまり周囲に気がねしすぎた。反動がきて、なにわるかろう。いつも同じくりごとをのべて、なにわるかろう。くりごとは何べんいってもよい。だからくりごとなんだ。
身だしなみ、日常起臥、対人マナー、それらがどんどん崩れて、家族に〈まあ、おじいちゃまって汚い〉とか、〈おばあちゃんはだらしなくなって下品になって〉といわれる老人もいるが、そうなったっていいじゃないか。地金あらわれ、本音で生きるというのも、品のいいことだ。
人が生きるとき、品がありつづけるには、かげで品のないこともしなくてはいけない。そういう必要がもうなくなったのだ。すごい。
老人は品を超越してしまう。健康もそうだ。酒•煙草を医師に禁じられたかって、老人の最後の嗜好を力ずくてうばうというのもどんなものだろう。医者や医術がなんぼのものじゃ、やりたいようにやるわいと老人がうそぶいて、なにわるかろう。
公共の場にいたので、プッと笑ってしまいました。(>_<)
とにかく勇ましい。
最近考えていた自分の悩みが一発で吹っ飛んじゃうような気持ちになりますよね。
しかも、田辺さんご本人が、歳を重ねられてる人生の大先輩なだけに、このエッセイを読んで、じわじわと嬉しさが広まりました。
老人は品を超越してしまう。
なんて、笑いを誘う一文なんでしょう。
『なんじゃそりゃ』と思いつつ、読み進めると『ナルホド…』と妙に説得力があって。
読んでいて励まされました。そして、ふむふむ、こんなことを先輩方は話したり考えたりしてるんだな〜とか新鮮なエッセイでした。
オススメです(^^)!
Ps
読んでいたら、レシートが出てきました。おそらく、前の持ち主の方はこれをしおりがわりにしてたのでしょうね、
マカダミア、ラブリーレモン、ブロッコリー、ピーマン、ニラマン、サラダ、豆腐絹、うずら豆、ぬかきゅうり、豆腐絹
結構ヘルシー路線ですね。ふふ。思いがけない出会いがあるから、古本って楽しい、、って又吉が言ってたけど、こういうことかぁと発見する今日この頃です。
現代で名の残っているのは漱石、鴎外、谷崎ぐらい、ほかは太宰治と三島由紀夫か、とある。菊池寛、久米正雄、横光利一、久保田万太郎、平林たい子も忘れられ、志賀直哉、川端康成もあぶない、とあった。•••「作家も死ねば歳月と共に風化していく」とのこと。まさにその通りなのだ。•••歳月の淘汰は厳しい。
というところから始まり、それに比べて、流行歌は残るよねぇ〜、という話になり。そうはいっても、真剣にものを書くしかないんだけども。
という感じのエッセイなんですけど。
知らない作家の名前ばかり...。とギクリとしました。
うーん、まだまだ、勉強不足です。