平松明子『マンガで読む絶望名人カフカの人生論』
マンガで読む 絶望名人カフカの人生論
- 作者: 平松昭子,頭木弘樹
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2015/06/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
カフカと言えば、変身、ですよね。
あのおどろおどろしい物語を書いた人だからきっと頭がおかしくて、なんか怖い人なのかもしれない、と思ってたんですけど
めちゃくちゃ人に好かれていた。というのも、人の良いところを見つけるのが得意で、赤ちゃんが、転がるのを見ても、褒めてそれでカフカに恋する女性もいたとか。しかも、サラリーマンとして働いていて、仕事も集中して真剣にやらないと気が済まないたちだった。
でも、、人と一緒にいる時に、一番孤独を感じてしまったり。人付き合いはとにかく苦手。ずっと好きな人には五年間手紙を書き続け、しかし実際に会うのを恐れ、五年間の間で会ったのは5回だけというエピソードまである。
そんなこんなで、中々心休まる日々は送ることが出来ず、、。自分はダメな人間だ、、と、恋の相手へのラブレターのなかでも切に曝け出してしまうほど。
その中でも、カフカの名言を今回は紹介したいと思います。
将来に向かって歩くことはぼくにはできません。将来に向かってつまずくこと、これならうまくできます。いちばんうまくできるのは倒れたままでいることです。
カフカ『幸福になるための完璧な方法を見つけたんだ』フェリーツェ『ステキ!聞かせて』カフカ『それは、自分の中にある確固たるものを信じ』フ『つまり自分の才能ってこと?』カ『その通り しかも、それを磨くための努力をしないことである』フ『それであなたは•••今幸福なの?』カフカ『なんだか死にたくなってきた(しょぼん...)』
さぁ、そしてついに!フェリーツェという恋の相手へプロポーズをするために、カフカは筆をとります。
あなたは、あなたがほとんど満足していたこれまでの生活を失うでしょう。あなたはベルリンを失い、あなたを喜ばせるオフィスを、女友達を、小さな生活上の楽しみを失い、健康で陽気な善良な男性と結婚し、それこそ憧れている美しい健康な子供たちを得る見込みを失うでしょう。この計り知れないほどの損失の代わりに、あなたは病弱で弱い人づきあいの悪い、無口で陰気な、ぎこちない、ほとんど絶望的な人間を獲得するでしょう
って、そこまで自分のことを卑下する?!しかもプロポーズでっっ(^◇^;)!
しかし、いざ結婚となってみると、嫌になってきゃうんですよ、カフカ、、。
翌月カフカはフェリーツェとの婚約を解消。
しかし、その半年後に再び2人は会い、カフカはもう一度プロポーズし婚約します。しかし、また、不安の虫が疼いてきて、、。離れたくて離れたくてたまらなくなります。
二ヶ月後カフカは病気にかかり、婚約解消できて本人はホッとしたというエピソードがあるらしいです。
えっ、カフカってそんな一面があるんだ?!というのを面白く分かりやすく解説してくれている本です。おすすめです。
(感想)
痛いほど分かるなぁと思った。
会いたくないし、電話もしたくないんだけど、ずっと手紙やLINEでやりとりしてたいな、みたいな。
実際に会うと、なぜかどうしても、虚無感や孤独感がじわぁぁって広がって、宇宙でひとりぼっちな気がしちゃう、みたいな。(でもこれは、意識的に変えれば変わるんだということが分かってきた)
そして付き合っても、離れたくてしかたがなくなる、という話も共感。仲良くなればなるほど、最後のことばかり見えて、どうせ相手とさよならする時が来るとか、飽きられるとか、自分が飽きられた時の予防線として他の人を見つけなきゃとか。
やっとスタート地点に立てたのに、始まる前に逃げ道を探してるんですよね。求めていたものが手に入ったはずなのに。
なぜなんだろう。深く立ち入り過ぎるのを恐るというか。信じすぎたり、変な方向に走れば爆発してしまうだろう、と思うから、予防線をはったり。
『どうせ終わるんだ、どうせ飽きられるんだ』という言葉が、前提のごとく胸のうちにある。
染まりきるのを恐れてるというか。
でも、話は変わるのですが、
うまくできるのは倒れたままでいることです。は最高だな、と思いました。