筒井康隆『最後の喫煙者』
カバーからして、なんかただならぬ雰囲気が漂ってるような、そうでもないような..。カバー絵は、しりあがり寿さん(!)作だそうで。
それで、ですね。本著は、筒井康隆氏が書いた短編集を自選で集めたものなんですけど、その中でも、『なんじゃそりゃ!!』と、呆気に取られたお話があるんです。
それが、この短編集でも一番最初に配置されている『急流』
というお話。
あらすじをザザザと。【ネタバレ注意】
ある日、ある時、いつからだったかは明確ではないが、時間が経つのが早くなったことに、主人公は気付く。
自分が寝て、起きて、会社に行って、仕事をする。日々の日課をこなす、感覚の時間と時計の周る速さが、どんどんと離れていっていた。
いつもと同じ時間で家を出たはずなのに、会社に着く頃にはとっくに、始業時間を過ぎてしまう。
同僚と飲みに行けば、ビールを一杯頼んで世間話をし終えた頃には、店は閉店間際になる。
仕事から帰ってきて、少し晩酌をして寝ようと思いつまみを箸でつついている間に夜が開ける。
この奇妙な現象は、全世界で起こり、
突き進む時間は時計までをも、巻き込む。あらゆる時計はあきらかに加速してゆく時間とともに、ぐるぐると廻り、ついには目にも留まらぬ速さで針は進む。
なぜ、時間が加速したのか。
なぜ、時計までもが加速するのか。
誰も原因が分からないまま、あれよあれよと太陽と月がぐるぐる巡る。
その奇怪な現象は、世界中で起きている事であった。
なおも加速を続ける時間は人類を置いて、どこへ行くのか...
【感想】
なんじゃそりゃーーー!
と思った。
最初は自分の感覚が、遅くなってると疑いながらも、それだけでは現実は説明できなくなっていく。
一日という感覚が薄れ、一日の間に、太陽と夜空が3度来ては、グルグルと回り続け、流れ続ける時間。
そのドキドキ感とヒヤヒヤ感が、筒井康隆氏の文章と、動悸が同じスピードで結末へと進んでいく。
止まらねーーーーーー!!
時間も目線も止まらねーうわぁぁぁぁぁーーーー!!!!
という感覚である。ドミノが倒れてくみたいな。
パタ..パタ...パタパタパタ..
パタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎➡︎
みたいな。
恐ろしすぎる.....。
正直、こんな、疾走感?穴に落ちてく感覚というのは初めて味わった気がする。
そして、筒井氏の文章は、読んでてめちゃくちゃ鮮明に目に浮かぶこと。しかも面白オカシク。
私そもそも、本読むの得意じゃなくて、
集中力もないほうなので、すぐ読んでるところを失ったり同じ感じのところで止まったりしちゃうんですけど。
展開が飽きを拒否するというか。そういうのが、全然無かった、短編集でした。
読書はあまり好きじゃない
読む時間があまりない
長い話は嫌い
というひとに超!!オススメです\(^o^)/!!!