ultraseamless’s diary

読んだ本の感想を書いたり、日々のことをつらつらと。

【書評】谷崎潤一郎『卍』

Ultraseamlessどす。先ほどの投稿に続きまして、本著『卍』のあらすじと感想をば。

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主人公は、かなり裕福な実家で育った人妻の柿内園子。

その夫は「今橋」という地で、(現在の大阪市中央区今橋二丁目で)、弁護士をしている。

ある日、柿内園子夫人は、日中時間を余していたので、天王寺の女子技芸学校たいう、絵や音楽、裁縫や刺繍を教えてくれる学校に通い始めた。

そこで、絵画を主に学んでる時、自分の描いた絵に対して、校長にいちゃもんをつけられる。

なんでも、同じ学校に通っている徳光光子という女に似ているんじゃないか。と言われるように。また、同性愛の仲なのではといいがかりをつけられる。

思いも寄らないことに、柿内夫人は腹を立てるが、妙な噂がたったことに対して当の徳光光子に謝るが、いたずら好きな徳光光子は、そのいい加減で意地悪な校長をからかってやるために、

あえて二人で過ごさないか提案する。トントンと話が進むうちに、またたくまに、二人の噂が流れる。

最初は遊び半分だったのにもかかわらず、次第に二人は愛し合うようになる。(溺れて周りが見えなくなっていく)しかし、光子には柿内夫人とは別に、逢瀬を続けている綿貫という男がいた。

光子を中心とした愛憎劇は、どこへと向かうのか〜

【感想】

こんな女の人いたら、怖いなぁ〜、、。

そしてこんな男本当にいたら、怖いなぁ〜、、。

という。

自分のコンプレックスを武器にして振りかざして疑心暗鬼になってしまう、その気持ちは分からないでもなかったのですが。

この作品を通じてなんだか、人を好きになるっていうのとその先へ行って交わるっていうのは、ほんと容易い。でもその代わりに、離れるのは難しくて、好きという気持ちは大きければ大きいほど自分でもコントロールできない

『可愛さあまって憎さ100倍恨み100倍』

みたいな、、感じだなぁと。

こんな、悪魔みたいな女性や、嫉妬深い男性には当たりたくないなぁ〜なんて思ったりしました。

というか、彼氏に対する嫉妬とか、このひとに比べたら可愛いもんだ!と思いつつ、エスカレートしてってしまう歯止めのきかない怖さをひしひしと、、。

なんだかな、個人的にはあまり、この作品はこうだ!!と言い切れるかんじじゃなくて、脈々と最初のページを開く前から始まってて終わった後もドクドクと後を引く感じで、

始まりと終わりの境界線がなく、一冊を通して感情の揺れを疑似的に体験して入り込みすぎて

少し現実離れして、小説の世界に浸ってしまうようなそんな感じがする。


うまく表現できないのですが。でも、とにかく好きという気持ちは深くなればなるほど、外が見えなくなってしまうよなぁ


そんなことをおもった一冊でした